スムーズに体が動かせなくなる、脳の病気です。患者数は人口10万人あたりに100~150人と推定されており、50歳以上で発症することが多いです。
【原因】
私たちの体は、脳からの指令が筋肉に伝わることによって動いています。この指令を調節し、体の動きをスムーズにしているのがドパミンという神経伝達物質です。
パーキンソン病は、中脳の黒質にある神経細胞が変性し、作られるドパミンが少なくなることで発症します。ドパミン神経細胞は年齢とともに自然に減っていきますが、パーキンソン病の患者さんは、健康な人に比べて早いスピードで減っていきます。ドパミン神経細胞が急激に減っていく理由は分かっていません。
【症状】
特徴的な症状は4つです。
1.安静時振戦(あんせいじしんせん):じっとしているときに手足が震える
2.筋固(きんこ)縮(しゅく):力を抜いたときに、他人が関節を動かすと固い、歯車のようにガクガクする
3.無動(むどう)・寡動(かどう):動作がゆっくり、表情の変化が乏しい、足が前に出にくい
4.姿勢反射障害: 起立・歩行時に不安定で転びやすい
この他にも、歩行障害(歩こうとすると足がすくむ、小刻みで歩く、前のめりになり止まらなくなる)、字がだんだん小さくなる、小声でぼそぼそと話す、便秘、排尿障害、立ちくらみ、睡眠障害、うつ・不安などの症状がみられます。
【診断】
多くの場合、問診と診察で診断ができます。他の病気でないことを調べるために、血液検査や頭部CT・MRIなどを行うこともあります。
【治療】
薬物療法が中心です。不足しているドパミンを補充する薬、ドパミンの分解を抑える薬、受容体を刺激する薬などを用い、症状を軽くします。
また、リハビリテーションを毎日行うことで、発症から長い年月が経っても、移動や食事、入浴などの介助を必要とすることが少なくなります。医師に相談し、個人の症状に合った運動療法を行いましょう。
例:前かがみになってしまう→鏡を見ながら姿勢を矯正、壁に背中をつけて立位を保つ
足がすくむ→その場で足踏みをしてから歩行に移る、「イチ・ニ・イチ・ニ」と調子をとってみる
病気が進行し、薬物療法を行っても改善が難しかったり、内服して数時間後に薬の効果が薄れる(ウェアリングオフ)、自分の意思とは関係なく体が勝手に動く(ジスキネジア)といった運動合併症が重くなったりした場合は、脳を電気刺激する外科療法を行うこともあります。
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