日本人の4人に1人が高血圧とも言われます。
軽度の高血圧であれば、痛くも痒くもことが問題で、積極的に治療をしない人もいます。
なぜ、高血圧が治療されるようになったか
治療を積極的に行われる様になったものには 2つの研究結果があります。
1.1961~79年に行われた久山町研究
図2は、血圧が高いと、どれだけ脳出血と脳梗塞が起こりやすくなるかをみたものです。グラフで明らかなように<収縮期血圧140以上、拡張期血圧90以上>になると、発症頻度はぐっと高まるのです。
2.1970年に米国退役軍人局病院で行われた降圧薬による初めての治療研究
高血圧患者さん380人を治療した人たちと治療しなかった人たちを2グループに分けて5年間追跡調査をしたところ、5年後に 図3の様な差が開きました。
収縮期血圧(最高血圧)とは
心臓が収縮して血液が送り出し、血管の圧力が高くなったときの最も高い血圧
拡張期血圧(最低血圧)とは
心臓が拡がって血液を心臓に取り込み、血管の圧力が低くなったときの最も低い血圧
<目標とする血圧>
年齢や合併症によっても違いますが、まずは収縮期血圧140mmHg未満、かつ 拡張期血圧90mmHg未満をめざしましょう。
糖尿病や腎臓病などがある場合は、さらに低い値を目指します。
原因
1.二次性高血圧 全体の10%程度
- 血圧を上げるホルモン異常
- 腎臓への動脈が狭くなって起こる腎血管性高血圧
- 薬剤性
2.本態性高血圧 原因が特定できないもの
遺伝因子が60%、環境因子が40% 関係しています。
環境因子として食塩、アルコール、肥満、運動不足、睡眠不足、ストレスが挙げられます。
血圧を測る時間帯
朝:起床後起床後1時間以内 排尿後 朝食前 座って1~2分安静後
夜:夜寝る前 座って 1~2分安静後
動いた後などは血圧が高くなりがちですので、1回目の数値が高い場合は1~2分時間をおいて計測し、平均値を考えると良いでしょう。
高血圧の時に生活で注意すること
1.塩分の制限
食塩(塩化ナトリウム)を調理に使う習慣のない人たちには高血圧はなく、食塩を使う習慣が入ってくると血圧が上昇することが知られています。
日本人の食塩摂取量は1日平均約13グラムですから、高血圧の人ではその半分程度、6グラム程度に抑えることが目標です。
塩分制限により、血圧は5~10mmHg程度下がりますが、個人差があります。
一般に女性、高齢者、高血圧の家族歴のある人や、血液中のレニンというホルモンが低い人では特に効果的です。
日本人の食事の材料には、1日約2グラムの食塩が含まれていますから、調理や食事中に使う食塩、しょうゆ、みそなどからの塩分を4~6gに抑える必要があります。
加工食品のなかには、ナトリウムの量を表記し、食塩量は書いてないものがあります。この場合はナトリウム量を2.5倍すれば、食塩の量に換算できます。
1日でどれだけ塩分をとっているかを測定するために、1日の尿に含まれるナトリウムを測定する方法があります。しかし、実際に1日分の尿をためるのは大変なので、1回の尿で1日塩分摂取量を推定する方法があります。
詳しくは来院されたときにご相談下さい。当院では栄養指導に役立てています。
2.肥満を治す
肥満者は、健常者の2~3倍高血圧が多いことがわかっています。
肥満は高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症の原因にもなりやすく、動脈硬化により心臓や血管系合併症の危険因子となっています。
運動療法だけで体重を減らすのは困難ですから、食事療法を中心にします。
体重10kgの減量で血圧は10~15mmhg下がります。
3.お酒はほどほどに
飲酒量が増えるほど血圧が高く、高血圧になりやすくなります。
高血圧の人への多くの医学的勧告では、1日のアルコール摂取量を「30mL以下(ビール大ビン1本 または 日本酒で1合 または ウィスキーでダブル1杯)」までということになります。
4.適度の運動を
全身運動(ウォーキング、ジョギング、自転車、ゆっくりとした水泳など)が推奨されています。
脈拍数が1分間に110~120位の運動を1回60分✕週3回か、1回30分✕週5~6回することをお勧めします。
効果は4週目ごろから現れてきます。
運動の効果は降圧だけではありません。耐糖能障害や脂質代謝障害の改善、ストレスの解消にも役立ちます。
5.カリウムを十分に
体内の重要なミネラルの一種であるカリウムは、野菜、果物、豆、いも類に多く含まれていて、摂取が多いと血圧を下げる働きがあります。
ゆでたり、煮たりすると、汁に出てしまいますから、調理法を工夫しましょう。
6.禁煙
喫煙に含まれるニコチンにより、一時的に血圧が上がります。本数が多くなると、血圧が高くなる時間が増えてきます。また、心臓病などの原因ともなりますので、禁煙が必要です。
7.禁煙
寒いと血圧が上がりますし、暖かいところから急に寒いところに行くと心臓に負担がかかり、ヒートショックと言われます。入浴中の死亡事故は年間14000人、交通事故の4倍に相当すると言われています。
入浴の際には、脱衣所などに暖房を入れて、温度差を小さく、お湯の温度も熱すぎないようにしましょう。
ヒートショック予報は下記のリンクから知ることが出来ます。
このページは国立循環器病研究センターのサイトを参考に作成しました。
お気軽にお問い合わせください。0538-23-8300電話受付時間 :
月・水・土(隔週)9:00~17:00
火 9:00~12:00
木 9:00~18:00
金 9:00~19:00